覆面レスラー

覆面レスラーは活躍すればするほど、覆面を脱ぐタイミングを失うと言う。
しかも自分から覆面を脱ぐ訳にもいかず、他人に暴かれることほど恥辱を受けるということもない。
そのストレスは計り知れないと、今なら察するに十分な立場にいる。


会社の若手の飲み会でゲロってしまう。胃液を吐くほど心を許した訳ではないが、仕事の不満をブチまけた。
すると、まるで通過儀礼のようにみんなイチャモンを付けられた事があるんだと知る。


つまり、私はまだリングのコーナーに立ったばかりで、今からが、技の見せ所だったのだ。
仕事とは紳士協定の上に成立つプロレスのようなものであって「キレてないですよ。キレさせたらたいしたもんだ。」
と言うレスラーの言葉の意味を知った。